円空との縁
東京国立博物館の特別展「仏像・一木にこめられた祈り」を見に行き、円空仏を初めて観た話を以前記事に書いた。
「円空巡礼」(後藤英夫ほか。新潮社)をみると、円空仏は東日本を中心に約4500体ほど見つかっている。(昭和61年10月・長谷川公茂氏の調査による)
数が多いのは故郷の岐阜と愛知だが、東北の青森や秋田にも足跡を残している。
また北海道の南部にも渡っており、渡島半島の西部(上ノ国町や江差町など)にも多い。
江差の北の大成町には、洞窟に篭って円空が鑿を振るったという太田権現がある。
「円空巡礼」の本で太田権現の話を読むと、「海沿いの道に、石の大きな鳥居がたって(中略)どうしても垂直に近い石段になったのであろう。私(長谷川公茂さん)はあまりの急勾配に驚いて」とある。
写真をみると「太田権現の洞窟より 彼方に浮ぶのは奥尻島」と出ている。
自分が大学生のころ、東北合宿(サイクリング部)のあと北海道に渡り、奥尻島に行った。
行きのフェリーで一緒になったバイクの人(北海道の人で家具職人)とキャンプをして、夕食は海で獲った「ウニ」と「アワビ」をいっぱい食べた。
今はどうかわからないが、この当時は海に入っても地元の人には何も言われなかった。
ウニを獲ってるところをみても、「なんだ、それしか獲ってないのか。」と言われる程度。
利尻や礼文島には大勢旅行者が行くが、同じ北海道でも奥尻島に行く人は少なかったからだろう。
私はウニという食べ物はどうも好きではなかったが(瓶詰めのタイプ)、ここで食べたウニ(馬ふんウニ・亀の子たわしのような形態)は文句なしに旨かった。
ちょっと海に入ると、足の踏み場がないほどウニがいっぱいある。(バイクの人談。私は合宿中に足の裏を切ってしまって海に入れなかった)
食べる前に、ウニを「うに」と並べて写真を撮ったり、食べる時はナイフを入れて中味を取り出すのだが、「ウニが、やめてくれ、とか言い出したらどうする?」とか、楽しく酔っ払った。
この奥尻島(当時は「グルメアイランド」と観光ポスターにあったが本当だった)に渡る前に、円空ゆかりの太田権現に私は行っていることを思い出した。
「円空巡礼」の著者の一人、長谷川公茂さんの文章にもあったように、海沿いの道から登る石段はすごい急勾配で、這って行かないと怖いくらい。下りも這って下りた。
この時は円空ゆかりの話は知らず、ニノ鳥居まで登り海を眺めて一休みして下りたので洞窟までは行かなかった。
太田権現には現在、仏像はないのでこの時洞窟まで行っても「円空仏」との出会いはなかったと思われるが、約20年経ってようやく上野で出会った円空さんとの縁。
世の中に偶然はないと河合隼雄先生がどこかで書いていたが、まさにそういう心持ちがする。

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